TCT理論についてお話しします。
TCTは、3つの指導方法の頭文字をまとめたものです。
T…ティーチング 答えを教える
C…コーチング 答えを引き出す
T…テスティング(テスト) 答えを結果で出す
をまとめてTCTと名付けました。
今、指導方法は迷走状態で指導者・先生の課題になっています。
ティーチングは、教えるということで指導者主導で取り組みます。
コーチングは、引き出すということで対象相手主導で考えてもらいながら取り組みます。
テスティングは、テストやチェックをして結果を見ながら取り組みます。
どの方法も良い方法なのですが、今その指導方法をコントロールできずに対象相手を目的達成に導くことが難しくなっています。
その原因は、時代背景が大きく関係しています。
昭和は、ティーチングです。
教えるを中心に、基本の徹底・集団行動・ルールなど、指導者主導で教わり基礎の充実・問題を未然に防ぐ・目的が揃うといった人間と目的の基本がしっかり指導されていく良い方法でした。
しかし、教える人に権力が大きくなり基本の叩き込み・集団の監視・ルール違反への処分が厳しくなりました。
ここが、厳しいことを乗り越えることを教えるのも指導となり、根性論・精神論に変わりました。
今では、体罰・ハラスメントとして指導者問題になっています。
その根性論・精神論の課題を受けて、時代は反対のコーチングに移行しました。
コーチングでは、根性や精神では分かりにくかった科学的根拠や目的の共有から対象者主導から目的達成を目指す流れに変わりました。
対象者が参加している気持ちになり、やる気や積極性があふれ集団が活性化するようになりました。
対象者が自分の意見が言えたり、人と違っていい自分を構築していく自由度がでてきた指導になりました。
しかし、根性論で叱ることが多かったことから急に褒めることが多くなり、注意を聞かない人が増えて褒めないと頑張れない褒めるというご褒美待ち指導になりました。
自分の意見が固まり、自己中心になり集団の中で個性をいかすのではなく集団から外れて個人間で意見の相違やまとまらない問題が出てきました。
取り組みにも、好き嫌いが増えてしまいやりたいことだけ頑張る風潮に進んでしまいました。
そこから、指導方法は
根性論に戻そうとする昭和派と、楽しいことや興味を引き続ける平成派に分かれ、そこから指導者の考え方や経験に委ねられるようになり、指導方法の迷子になっています。
令和はどうするのか?
コロナもあり社会変化がある中で、指導者も対象者もバラバラの価値観があふれています。
指導者歴20年の中で見えてきたものは、〇〇派の指導に偏ることではないと気づきました。
人が目的を達成するには、【頑張る】と【楽しさ】の両輪が噛み合うことが大切です。
頑張るが行き過ぎた昭和・楽しさが行きすぎた平成の中で、道順を作ることが指導者と対象者の目的達成のカギとなります。
①ティーチング
基礎や学ぶための環境作りには、ティーチングが必須です。
楽しさや個人の意見から入ると集中力が低く・我流が生まれてしまいます。
だれがやっても大切な内容は基礎です。
基礎は、集中的に全員が習得すべき最初の道です。
指導者主導で、分かりやすく同じ結果が出て成長や成果が実感できる内容で土台を作ること。
ここには、基礎が習得しやすい集団行動やルールを教え、頑張ることが楽しくなる取り組み重視で進むと良い環境ができます。
注意にも、あっさりはっきり伝えることで✕となることを気を付けながら、〇が増えていく注意方法はみんなが嫌な気持ちにならず逆に取り組みに集中してみんなが成果を体験する意識の高い取り組みが習慣になります。
②コーチング
ティーチングで集中力・集団力・基礎が習慣化され、対象者主導に少しずつ変化させます。
いきなり預けると前の方が良かった!自分で好きやっていいんだ!とすぐ集団が壊れます。
習慣化したことを任せながら、基礎を
・あなたならどう使いますか?
・どんな時に使いますか?
・やってみてどうでしたか?
と本当の成功体験をすることが大切です。
そこには、失敗したことも大切で、基礎だけで本番は成功しないからこそ、本番に向けて基礎を自分がどう扱ってどんな状況で解決するのかを学ぶリアル体験をすることになります。
進行スピードは抑え、じっくり確認しみんなの意見や解決法を考えて試します。
また、コミュニケーションがカギで、自分と人が違うことを認識して違いを認め合いお互いの長所・短所も学びの中に入ります。
客観性を身につけ、その中でも自分はこうしていくぞ!こういうやり方が自分に合うぞ!と取り組み+自分を構築してテストや試合など、本番に向けて準備します。
③テスティング
自分が取り組んできた基礎・応用・個性を本番ならどう達成できるか。
テストで確認します。
学校なら定期テスト・運動会、スポーツなら試合。
その結果に基づいて、基礎に課題があるのか?応用や自分の判断に課題があるのか?
その集団の課題が出れば、ティーチングに戻ることができますし、コーチングの経験値を増やすことなど、集団や個人の現在から取り組みが明確になるのがTCT理論です。
指導者は、自分の経験や理想の世界を作っては間違うことが多いです。
対象者が、今何をしてどこに進んで行くか明確なマップを伝えることが仕事であり、目的に向けてナビゲーションすること。
さらに、結果から修正や方向転換など集団という生き物をどのように導くか。
それが、指導者の個人的な経験では対象者に当てはまらないので、指導者と対象者は運命共同体で一緒に解決に向かう仲間として進む。
これが、令和の、または新時代の指導方法TCT理論です。